「性」を題材に世界的ヒット 『セックス・エデュケーション』が共感と感動のクチコミを集める理由
新型コロナウイルスの影響により、「巣ごもり消費」が活発になり始めています。夜間や休日の外出自粛のため家で過ごす時間が増えている人も多いなか、サブスクリプション型サービスの成長が増えることでしょう。そこで今回は、世界最大のサブスクサービスといわれ、オリジナル作品も多く配信しているネットフリックスに着目してみました。
ネットフリックスは2019年、オリジナルドラマの視聴者数トップ10作品(2019年10月時点から過去1年間)をニューヨーク・タイムズ紙に発表しています。
2020年4月現在から過去1年間に投稿されたツイート数を全10作品分調べたところ、視聴数ランキングで5位だった『セックス・エデュケーション』が、2番目にツイートの多い作品でした。視聴数、ツイート数ランキングともに1位はSFミステリードラマの『ストレンジャー・シングス』ですが、興味深いのは『セックス・エデュケーション』です。
SFやミステリーなど比較的一般ウケしやすい題材と違い、センシティブなタイトルやテーマで、公に話題にできそうなイメージも薄いのに、なぜTwitterでは多くクチコミが投稿されているのでしょうか?
SNSマーケティング支援会社・ホットリンクのライター「私がエレン」が、Twitter上のデータをもとにドラマを考察していきます(筆者も同作品の大ファン)。
※ホットリンク社のソーシャルビッグデータ解析ツール「BuzzSpreader Powered by クチコミ@係長」を用いて調査。
異例の早さで続編が決まった世界的人気ドラマ
『セックス・エデュケーション』は、2019年1月11日からネットフリックスで配信されているコメディドラマです。セックス・セラピストの母の影響で、奥手にもかかわらず性知識が豊富な主人公・オーティスが、同級生のメイヴと高校でセックス・クリニックを開くという物語。タイトルは直訳で「性教育」です。
シーズン1(以後S1と表記)の配信から1週間後には世界累計視聴者数が4000万人以上を突破するなど、人気は全世界的です。シーズン2(同S2)の制作発表はS1の配信4週間後に行われるなど、「異例の早さ」と評されました。S2は2020年1月17日から配信され、現在はシーズン3(同S3)が制作中です。
シーズン2前後でクチコミ数が激増
冒頭で書いたように、『セックス・エデュケーション』は10作品中2番目に多くクチコミを集めていました(2019年1月~2020年1月までの1年の間で調査)。また、クチコミ数はS1の配信前後の時期よりも、S2の配信前後の時期の方が激増しています。
黄色い矢印を引いてある部分がS1配信前後の時期で、赤い矢印を引いた部分がS2配信前後の時期ですが、グラフの盛り上がりぶりはS2配信前後の方が大きいことがわかります。
本来ならオープンに話すにははばかられるような題材にもかかわらず、どのような文脈から多くのクチコミが生まれているのでしょうか? クチコミ数が激増したS2以降のデータを調べてみます。
以下は「セックスエデュケーション」「セックス・エデュケーション」の周辺にある関連ワードを表示した「頻出関連語」です。ここからクチコミの傾向が探れます。
「頻出関連語ランキング」の上位には「面白い」「好き」「良い」「最高」といった感情を表すワードが並んでいます。
各ワードを含むクチコミの文脈は、
- 「面白い」→シンプルにそう作品を評価
- 「好き」→作品あるいは登場人物への好意
- 「良い」→作品に対する評価
- 「最高」→同上
このような傾向が見られました。
ただし、「最高」のワードを含むクチコミは、あるエピソードをきっかけとした文脈からも生まれていました。
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