政府サイトの「IE縛り」は何が問題なのか? ネットでは「エンジニアがかわいそう」「発注側の問題では」などの声

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 7月13日、日本経済新聞の「デジタル政府、『IE縛り』の急所 情報漏洩の守りに不安」という記事が発端となり、Twitterでは「IE縛り」がトレンド入りしました。

 IEは、マイクロソフトがかつて開発していたインターネットブラウザ「Internet Explorer」の略称です。記事では、マイナンバーカード所有者に対し、買い物などで使えるポイントを還元する「マイナポイント」をパソコンで申し込む場合に「Internet Explorer 11(IE11)」でないといけないことについて言及しています。

 また、Twitterでは「IE縛り」がトレンド入りしたことで、ユーザーからはさまざまな反応が得られました。実際にどのような反応があったのかを見ていきましょう。

画像は「マイナポイント事業」公式サイトより引用
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「IE縛り」の評価は?

 SNS分析ツールで「IE縛り」を解析した結果、ネガティブな反応が66.7%、ポジティブな反応が33.3%と分類されました。

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「IE縛り」の盛り上がりは?

 7月13日9時に最も大きく盛り上がり、その後も継続して話題となっています。

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なぜIE縛りが問題視されているのか?

 そもそも、なぜIE縛りが問題視されているのでしょうか?

 真っ先に挙げられる問題として、IE11を利用しているユーザーが少ないという点が挙げられます。ウェブレッジのWebブラウザシェアランキングTOP10を見てみると、最もシェア率が高いのは「Chrome 83.0」で43.15%。次いで「IE11」が2位となっていますが、シェア率は9.26%となっており、1位のChromeと比べるとシェア率は大幅に減少しています(参考:WebブラウザシェアランキングTOP10(日本国内・世界))。

 IE11はWindows 8.1では標準ブラウザとして搭載されていましたが、Windows 10ではIEに代わるインターネットブラウザ「Microsoft Edge」が標準ブラウザとなっているため、シェア率に大きく差があるのだと見られます。

WebブラウザシェアランキングTOP10(画像は「ウェブレッジ」公式サイトより引用

 なお、Mac OSでは「Safari」が標準ブラウザとなっています。Mac OSでIEを使用するためには特殊な導入方法が必要となるため、ネットでは「Macユーザーはそもそも視野に入れられていないのではないか?」との指摘も見られました。

 また、1月18日には情報処理推進機構(IPA)により、IEの脆弱性が指摘されていました。2月12日にはマイクロソフトによる修正プログラムが提供されましたが、この件もあってかIEのセキュリティを懸念する声も少なからず見られます。

 マイナポイントではマイナンバーを扱うことから「このご時世、民間企業ではセキュリティ強化の為にIEをやめるシステムも多いのに……。マイナンバー自体の管理が堅牢でも、周辺システムの脆弱性から漏れる可能性は十分ある」と指摘する声も見られました。

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エンジニアも避けたがる? IE対応のシステム

 パソコンからマイナポイントの申し込みをする際、IE11を使わないと申し込みができないことから、そのシステムを構築したエンジニアについて言及する声も見られました。

 といっても、担当したエンジニアを非難する言葉ではなく「IE縛りとか、依頼された技術者がかわいそう」や「IEのみ対応のWebアプリケーションなんて、エンジニアだったら作りたいなんて思わないだろうから、泣く泣く実装したのだと思う……」など、エンジニアを気にかけるような投稿が多く見られています。みんな優しい……!

 新しく構築するシステムをIEに対応させることに対して疑問を抱く声が多く「IE対応とかほんとやりたくないな」「エンジニアの技術が低いのではなく、逆にIE対応には特別な技術が必要。今どきIEでやりたいというエンジニアなどいない。みんなやりたくない」など、エンジニアの視点からもIEを避けたいとの意見も見られました。

 中には「開発業者が『IEでなければ無理』というよりも、発注者側が『うちがIEメインで使っているから、IEで動くようにして』ってのが実態じゃないかと」や「技術屋側に発注がきている時点で、環境はもう確定している3次受け以降になっていて、もう1ミリも要件を変更できない状態になっているような気もします」など、発注側に問題があるのではないかとの指摘も。

 そんなネガティブな反応ばかりが目立った“IE縛り”ですが、中には「少しでも予算を抑えないとすぐに叩かれる行政が、そんなにたくさんのブラウザに対応できるほどの予算をもらえるわけがなく、それなら『Windowsのパソコンに搭載されているIEで動くように作る』というのは自然な流れだと思う」と、予算を考慮すれば妥当な発注だったのではないかとの声も見られました。

調査概要

調査期間2020年7月13日
調査対象Twitter
調査件数3183 件(10%サンプリング)
調査キーワードIE縛り
調査方法対象期間のTweetを「SocialInsight」によるテキストマイニングにより分析
備考実数に近づけるため件数を100%に補正

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