「獲れたての魚」と1日経って「熟成させた魚」 どちらが美味しい? 専門家が解説

 黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」に「株式会社ウエカツ水産」代表取締役の上田勝彦が出演。獲れたての魚と熟成させた魚の違いについて語った。

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 黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」に「株式会社ウエカツ水産」代表取締役の上田勝彦が出演。獲れたての魚と熟成させた魚の違いについて語った。

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。5ゲストは「株式会社ウエカツ水産」代表取締役の上田勝彦。獲れたての魚と熟成させた魚の違いついて—

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解説

黒木)昔、「美味しんぼ」という漫画で生簀の魚と市場で仕入れた魚とどちらが美味しいかというお話がありました。

上田)ありましたね。生きている魚を刺身にするのと、昨日締めた翌日の魚の刺身ということです。新鮮味でいうならば、生きている方がいいのではないかと。

黒木)そのような話でした。

上田)しかし、1日あとの方が美味しくなっているという話だったと思います。

黒木)これはどうしてなのですか?

上田)いくつかの理由があります。締めてすぐの刺身が美味しくないわけではありません。魚が疲れていると、うま味のもとであるエネルギー物質を消費してしまっているので、疲れている魚はどのようにしても美味しくはならないのです。

飯田)生簀の魚が疲れていたら。

※イメージ

上田)もう1つは、1日か2日経ったものは細胞が分解して自己消化していき、熟成しています。つまり、うま味成分が出ている。このようなことをあの漫画は言っていたのだと思います。

黒木)なるほど。

上田)ところが、魚は生きているときから最後に腐る手前まで、ずっと食べられるわけです。このなかのどれが美味しいのかというと、言えません。魚の味はグラデーションなので、それだけ味の幅があるのです。

黒木)そのときによって味が変わっていくということですか?

上田)そうですね。それを味わうことが魚を味わうということなのではないかと思います。

黒木)深いですね。考えたこともありませんでした。よくお寿司屋さんで「3日ほど寝かせたので美味しくなっていますよ」と伺うときがあります。

上田)それは、半分は本当で半分は違うと思います。「寝かせたから美味しくなっている」というものではないからです。ひと塩あてて締めるとか醤油で洗うことで、自己消化の反応が促進されて、美味しく食べられるのです。しかもプリプリの躍動感があり、噛んで味わう美味しさがあります。

黒木)塩で洗う、醤油で洗うということですが、これは家庭でもできる話ですよね。

上田)家庭でもできます。

黒木)上田さんは大学時代にシイラ漁に行かれてそれから漁師になられたそうですね。

上田)それがきっかけでした。

黒木)そのまま漁師になろうかと思ったのですが、いままでたくさん獲れていたシイラがあまり獲れなくなってしまった。

上田)それは少し後のことなのです。その前に、このまま漁師になろうかなという話をしたときに、世話になった漁師たちが「お前大学を出ているのだから中央に行ってこい。そして俺らの声を伝えてこい」と言ってきたのです。「ダメだったら帰ってきてもいいから」という話で東京に出たのです。

黒木)水産庁のお役人になられるわけですよね。

上田)半分は使命感、半分は出稼ぎ感でした。

黒木)水産庁はお辞めになったわけですが、そこにいらしたときの経験もいまに生かされているわけですよね。

上田)勤めているなかでいろいろな経験をさせていただきました。普通に漁師をやっているだけではできないような経験もありました。いろいろな漁船にも乗りました。

黒木)それは水産庁時代に、ですか?

上田)マグロ船や捕鯨船にも乗りました。普通は体験できないようなことを経験させていただいて、そのなかで身に付けた知識と技術はすべて、いまに活きています。

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解説者

上田勝彦(うえだ・かつひこ)/ 株式会社ウエカツ水産 代表取締役
■1964年・島根県出雲市出身。
■幼少のころから魚に興味を持ち、釣りと魚の研究三昧の日々を送る。
■長崎大学水産学部在学中から「シイラ漁船」に乗り込み、漁師として活動。卒業後は漁師の道に進もうと考えるも、1991年水産庁入庁。
■瀬戸内海漁業調整事務所勤務、調査捕鯨業務、マグロ漁場開拓業務などの業務を経て、本庁に復帰し、水産物普及業務に邁進。
■2015年に退職し、「ウエカツ水産」を起業。「生産」「流通」「小売」「飲食」「家庭の食卓」を柱に、魚食文化普及に尽力。
■漁港で活け締め(神経締め)の技術指導、料理店やスーパーの厨房で魚の扱いを指南、YouTubeから家庭に向けて魚料理の仕組みを伝えるなど、さまざまな活動を実施。
■あらゆる現場に足を運び、漁業、水産、魚食に関わるすべての人に向き合い、「魚を食べる意味」を伝え続けている。
■著書に『旬を楽しむ魚の教科書』『ウエカツの目からウロコの魚料理』『ウエカツさん直伝! 子どもが食いつく 魚レシピとヒミツ』

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番組情報

ENEOSプレゼンツ あさナビ
毎週月曜〜金曜 6:43 – 6:49番組HP
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳

※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

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