ユニフォームコラ、かぶる傘「熱中症対策は自己管理」……　「東京五輪ボランティア問題」を振り返る

　2020年開催の東京五輪では、交通問題や暑さ対策など、さまざまな課題が指摘されていますが、ネット上を騒がせているのがボランティア問題です。都市ボランティアの人数不足、交通宿泊費、熱中症対策などボランティア一つ取っても、たくさんの問題点が浮き彫りになっています。

　ねとらぼ調査隊では、2019年にネット上で取り上げられた「五輪ボランティア」に関する話題を調べてみました。

定期的に大きな話題が。

　SNS分析ツールを使ってツイートを解析した結果、5月に大きくトレンド件数が増えてから、8月、11月と3カ月に1回のペースで話題になっています。このほかにも定期的にツイート数が伸びていて、話題になっているのが見て取れます。

　ツイート内容は、ネガティブな反応が73.5%となりました。ネット上では五輪ボランティア問題について批判的なツイートが多いようです。

　それでは、今年1年でどの様な反応があったのかを振り返っていきます。

5月27日「東京五輪ボランティアユニフォームのコラ画像」

　5月27日は、東京五輪で東京都が募集した、都内の観光などをサポートする「都市ボランティア（観光ボランティア）」のコラ画像が出回り、ダサいと話題になりました。

　2019年5月24日に小池百合子東京都知事が発表した「かぶる傘」が話題となり、コラ画像が作られたと思われます。

　傘をかぶっている写真は、2017年9月に発表された都市ボランティアのユニフォームに、「かぶる傘」の試作品をコラージュしたものです。この画像が拡散し、「ダサすぎる」「傘地蔵じゃん」などの感想が。

9月2日には「#五輪の資格なし」がボランティア問題に波及

　9月2日、韓国与党の議員らが福島原発問題を取り上げ「日本に五輪を開催する資格はあるのか」との批判があり、Twitterではハッシュタグ「#五輪の資格なし」でさまざまな意見が見られました。これに対し、「東日本大震災の風評被害を含め、食の安全、安心の信頼回復に携わってきた全ての人たちを愚弄している」や「五輪の資格ありますよ、って言われたから選ばれたんだぞ」など、直接関係のない原発問題に言及した韓国を非難する声が。

　さらに、「#五輪の資格なし」が独り歩きした形で、「時給10万くれるんだったら猛暑の中でも手伝いしてやる」「ボランティアの奴隷みたいな扱いホント糞過ぎない？」といった、ボランティアへの待遇を嘆く声も多かったようです。

8月18日、ボランティアの熱中症対策に組織委員会「基本的に自己管理」

　8月18日は、ボランティアへの対応があまりにもひどすぎると話題になりました。

　発端は7月16日に開催された「第4回ボランティア検討委員会」の内容。「暑さ対策は基本的に自己管理」や「マラソンなど、早朝に行われる競技については終電で会場入り」といったことが話し合われ、「ブラックすぎる」や「ボランティア搾取だ」など批判が殺到しました。

11月27日、五輪アルバイト「時給1600円」で募集開始

　11月27日は、ボランティアと同じ業務のアルバイト求人が掲載されていることについての批判が殺到しました。

　事の発端は9月12日、20万人の応募があった大会ボランティアの採用が8万人で12万人が不採用となった件です。元々の募集が8万人だったので適当な採用人数ではありますが、人材派遣会社のパソナグループが同様の業務をアルバイトとして雇うことに、「ボランティアはやる気搾取だ」や「最初からアルバイトで募集しろ」など批判の声が上がりました。

　一方で、アルバイトとしての業務と、ボランティアとしての業務では責任が違うとする声も見られました。

まとめ

　今回は、今年トレンド件数が多く見られた5月、8月、11月を中心に取り上げましたが、このほかにも「香取慎吾さんらが選考したボランティアユニフォームのお披露目」や「マラソン会場が札幌に変更」など、たくさんの話題がありました。いろいろな対策が必要とされていますが、2020年の東京五輪・パラリンピックが大成功で終わることを祈るばかりです。

調査概要